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2019.06.27 縁付き畳_201
お寺のベンチにはめ込む畳を製作しました。
この「白中紋」という縁は、現在の紋縁の主流です。

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中紋は紋の径が約4センチですが、幅が狭い床の間や畳の場合、
この小紋(直径約3センチ)を使います。

ベンチ用とはいえ、紋縁になるとどうしても気合いが入るのは
職人の性(さが)かもしれません。

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使用畳表: 熊本県産ひのみどり

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2018.11.24 『風行草偃』
臨済宗妙心寺派の修行道場瑞龍寺本堂の畳。

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ここに来ると養老町出身の土屋禮一画伯の龍の襖絵が迫り、
いつも「己の心」が揺さぶられるような、、、
ちょっと大袈裟ですが、そんな厳粛な気持ちになります。

雲水さんたちが毎日禅の修行に明け暮れる僧堂は
畳の真価が問われるフィールドでもあります。
部屋の中でも比較的使用頻度の少ない場所に
自分では正直耐久力に確証がなかったのですが、
とある品種の畳表の最上品を使用したのが9年前でした。

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左側は裏返し、右側が品質を吟味して表替えした畳。
年数の違いはあれ、同じ国産畳表でもこれだけ違います。

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表面が光っているように見えますが、これは人の皮脂等で
いわば表面がコーティングされた状態になっているのです。
い草のささくれもほとんど無く衣類に着きません。
乾燥度の高い中国産い草や、表皮の薄い国産い草ですらも
このように光沢が出るまでに、表皮が持たず削れてしまいます。
色は別にしても、裏側も同じ年数の耐久力があります。

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畳表は決して品評会で見てくれを鑑賞するものではありません。
畳として製品となり、何年も人に踏まれて使われるものです。
「国産の畳表だからささくれません」等、一体何を根拠に
お客様に説明できるのか? という自分の率直な疑問でした。
ある生産者の畳表に課した、一つの答えだと思います。

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書家でもあられます、清田保南老師とお話ししていると
素晴らしい頂き物をしました。
『風行草偃』(ふうこうそうえん)とは、"風吹かば、草ふせる"

ありがとうございました。
九拝

2018.06.27 時には...
こういう畳がなくてはと思います。

先先代と親しくされていたお宅の畳を
表替えさせて頂く事になりました。
畳床は60年以上は前のもの。
何度か修繕時の口ゴザが入っていますが、
それでも縁際が沈んでいます。
しかし昔の職人さんは、ちゃんと口ゴザを入れています。

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畳の仕事を始めた頃は、こういう畳を見ると
「面倒だなぁ、新畳の仕事がしたい」と感じました。
しかし最近の建材畳床に中国産の畳表を付ける新畳など、
誰が作ってもほぼ同じものができます。
技術的にはパートの方でも十分間に合います。
だから機械を導入して、異業種がビジネスとして参入して来る。
しかしこういう古い畳になると、それなりの経験がないと
どこをどうやって修繕するのか
分からないと思います。

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自分が最初面倒くさいと感じただけに、
こらからの若い畳店の方にも
「物が蘇る素晴らしさ」
そして
「古き良きものへのリスペクト」

これを継承していってもらいたいものです。

そんな事を言うのはまだ早い!ですかねー
何と言っても「人生100年時代」ですから。

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先日、備後畳表の産地である広島県福山市に行ってきました。

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唯一の手織中継表の生産者である来山淳平さんの元へ。
昨年8月にもお伺いさせて頂いたのですが、
今回は足踏式オモテバタで中継表を織らせてもらうためです。

下は「コテ」と呼ばれる要の部品。
この木が少しだけ前後に傾くと、溝の部分に通された麻糸は
まっすぐのままですが、穴に通された縦麻糸は傾きその隙間に
左右からイグサを引っ掛ける薄い木が通る仕組みです。

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この手織り織機は来山さんのほぼ自作品。
よく見るとDIY感がプンプン。
勿論壊れた時も自分で修理されます。
昔の人が作ったと思いますが、実に上手く考えてあります。
私も機械好きなので、しばしそのメカばかり見ていました。

イグサを通す度に荷重のかかった両足の足踏みをします。
一枚完成するのはもうダイエット運動の域です。
慣れてくると両手・両足が連動してきました。
織手がいなければ助っ人はできると思います。
大変勉強になりました。

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そして廣川さんの工房も訪ねました。
ここに来るのは6年ぶり。
奥様は足も良くなられたご様子、お元気でした。
イグサの植付けもご一緒しました。

「ゴザを上手く撮って頂いたあの写真覚えてます?」
と言われました。

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11年前に差し上げた写真は今でも工房に掛かっています。
ちょっと恥ずかしいような、でも嬉しいですねー。

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当時私が考えた廣川さんのキャッチコピーは
The last successor of the weaving for Bingo-mat.
「備後表最後の継承者」


複雑な気持ちもありますが、
必ずや継承者が出てきてくれると思います。
歴史のある備後産地を存続させる働きを
行政に訴えて行く必要性を感じます。

頑張れ!備後産地。

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これはお世話になっている
あるご住職からお聞きした話です。
今から30年ほど前に書院と庫裏を新築され、
先代が備後表の長引で畳を作らせて頂きました。

すぐに台風が来たのですが、建物の設計ミスで
雨水が大量に部屋に流れてきたそうです。
もちろん総畳敷きですから、
入り口に近い畳の上は川のように
水が流れていたそうです。

慌てて先代に電話をされて事情を説明。
ところが父の対応は
「水だけ拭いてもらって、そのまま何もしなくて良いです。」
???
ご住職もあっけに取られたそうです。
納入したばかりの高価な畳が浸水したとなれば
普通なら飛んで行かなければダメでしょう。

その畳は今も書院で綺麗な金色(こんじき色)。
濡れなかった奥の畳と何ら変わりなく
敷かれています。
「石河さんのお父さんの言われた通りだった」
と、その部屋に入ると懐かしそうに話されます。

最初は半信半疑でしたが
何より実際にその畳が今も敷かれています。
ご住職の寛容な心と、
頑強な備後表を熟知し微動だにしなかった父を
まざまざと思い起こされました。
今の私はこの時の父とほぼ同じ年齢ですが、
悔しいかな、レベルが違います。

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前置きが長くなりましたが
今日、ヘビーユーザー様から同じ案件のお電話。
築100年以上のお屋敷。
気づくと雨漏りで壁土が泥になって
畳に付いて縁を腐らせてしまったとの事。
畳はやはり父が30年ほど前に施工した備後長引。

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汚れを取って見ると.....

麻縁と藁の一部は腐敗してますが、
麻2本芯の畳表はやはり何ともなっていない。
華奢な本高宮の麻縁を交換して納品しました。
これで30年経ってます、今でもパンパン。
まだ5年や10年へっちゃらです。

「せとなみ」という藺草で織られた
備後長引表に優る畳表はないと
私がずっと言い続けている理由です。
25〜30年使った備後長引表をいくつも
保管している変わり者は私ぐらいでしょう。
熊本の橋口さんに広島の表を見せて
「こういう畳表を織ってよ!」
こんなタブーな畳店はいないと思います。
私にとって彼はレジェンドでも何でもなく
同級のライバルですから。。。

何とかこの「せとなみ」が
再び復活する手立ては無いものか?
来月は備後地草の植え付けを手伝うため
福山に行って来ます。
廣川さんの奥さんや来山さんにも
色々とご指導が頂けるようなので
将来中継表の製織の手伝いができるように
勉強してきます。

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